詐欺会社をたちまちに見抜く技術(超基本編)

実際にあった調査を学習用にアレンジし、わかりやすく解説しています。ですから、リアルの調査を体感しながら、使える知識を効率良く学びとることができます。

A社の取引先に関し、A社の調査担当者はすべての会社の法人登記簿謄本とリサーチ会社の調査報告書を集め、営業担当者の私見を聞き、取引の可否をしていたが、基本的に取引を停止することはなかった。しかし、新規取引先の有望企業との取引で、代金の回収ができなくなってしまい、訴訟も含めて対策を行う必要があり、資料をT.I.U.総合探偵社調査部に発送した。

日本の中小企業の多くは、与信についての調査を行っていません。また、独特の掛売りという商慣習があります。掛売りとは、いわゆる「ツケ」です。例えば、「25日締め翌々月末払い」となれば、月初からその月の25日までの取引の支払いを、翌々月の月末にまとめて支払いますという取引になります。このような取引は、日本の商慣習としては、とてもよくある方法となっています。

しかし、この仕組みを利用するのが、「取り込み詐欺」などの詐欺組織です。当初は信用付けのため、現金で少数の取引を確実に行います。換金性が高く、すぐに売れるような商品が狙われます。これまではパソコンや家電品、カメラなどがよく狙われていましたが、最近では、消費期限のある生鮮食料品なども狙われる対象になっています。これは、食料品は、このような商慣習が根強くあるのに、調査活動は原則していないので、ノーチェックで騙せるという詐欺師にとっての利点があるからです。

調査員、探偵として、掛売りなどの商慣習を理解していないと、この相談は受ける段階で、相談側から間違いなく不信感を持たれてしまいます。経験がないのではないか?つまりは、海千山千の詐欺組織と対抗できるだけの基礎知識がないのではないかという疑問です。詐欺は知能犯罪ですから、知能という点で、知識不足は決定的な実力不足と評価できます。ですから、このような商慣習についても、T.I.U.探偵養成学校では知識としてしっかりと教えています。

ここでは、超基本編(WEB版)ですので、追跡までは含みません。実際は全容解明までをその調査範囲として、担当しています。
ここでは、登記簿謄本についてのチェックまでを扱います。

取り込み詐欺の多くでは、法人取引にしています。この場合の法人とは、株式会社などの会社組織のことを指します。会社とするには、法務局で株式会社の設立登記を必ずしなければなりません。登記については、探偵学校の座学講義で、詳しく解説しますので、ここでは割愛します。

さて、この登記は、商業登記というものになります。法務局では、この公開情報を手数料を支払うことで、入手することができます。これはいわゆる会社の記録です。

ここで問題となるのは、休眠会社の存在です。
日本には数多くの株式会社や旧有限会社が存在しています。そして、事実上、活動はしていないけれども、登記のみ残ってしまっているという会社も数多くあります。こうした事実上活動をしていない会社のことを、「休眠会社」と言います。
単に眠っているだけならば、大きな問題は生じ得ませんが、これが、悪意を持って意図的に転売されてしまうと問題が生じます。

問題がない企業の売買は、いわゆる「M&A」というものです。株式の譲渡や役員の変更などが行われ、事業の引き継ぎがあるような正規の企業買取ですが、例えば、親子でやっているだけの中小企業の場合、専売的な利権があるとか、会社保有の資産があるなどでない限り、休眠してしまえば、引き継ぐ事業すらないという状態である方が多いと言えます。

詐欺組織は、このような休眠会社を買い取ります。登記簿には、資本金や設立年月日が表示されますから、「株式会社であれば、旧法では資本金は1000万円となっています。」(現行法では資本金基準は撤廃されています。)資本金は1000万円、設立されたのは、だいぶ古くなりますから、結構な社歴があるということになります。

日本の中小企業の10年継続率はおよそ6%と言われていますから、社歴があるというのは、一定の信頼の評価があるとも判断されがちです。
こうしたメリットから詐欺組織は休眠会社を安く仕入れようとする傾向があります。

これを見抜く方法が、商業法人登記簿謄本にある移転や閉鎖等の記録です。
この記載は商業法人登記簿謄本にあります。
調査員はこの記載を辿り、移転前や閉鎖登記簿を入手し、その記録変遷から、休眠会社買取
の要素があるかないかを判断します。

このケースでは、休眠会社を買い取った形跡が極めて濃厚であると判断され、この証拠固めが行われました。また、登記簿上の取締役が、何らの活動をしていない者であり、本人も名義を貸しただけだと証言したため、事実上の経営者を追跡調査により判明させています。
調査での追跡はここまで、あとは訴訟により、事実上の経営者などへの損害賠償請求という流れとなります。
こうした実際の調査を学習用にアレンジし、わかりやすく解説しながら、演習を行います。演習によって、商業法人登記簿謄本の入手方法や分析の仕方をスキルとして身につけます。

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